

建主さんに高気密、高断熱と言う温熱環境に関する性能を知って頂くには、相当に難しい数値や理論を説明しなくてはなりません。説明が難しいだけでなく、実際に口頭で説明した家の性能を、現場施工で正しく実践するにはわたしたちにとっても困難な事なのです。
また迂闊な高気密高断熱性能は、内部結露で家を腐らせ、室内空気を汚染させるなどの逆作用となる場合があります。特に温暖地域では、夏場の冷房負荷が大きくなる省エネに逆行する家などが実際に供給されています。
つまり、省エネに関する性能をしっかりと理解し、それを実際の現場で施工する事は、技術面、技能面でも大変な困難が伴うのです。また家を多く売ろうとする業者側は、わざわざ売りにくい、施工の難しい、そしてメンテナンスの伴う高性能住宅を一生懸命に販売しようとせずに、家を最も売り易いビジネスモデルとして構築せざるを得ないのだと言えるのです。
住みたいと思う家の多くは、外観、内装、キッチンセット、バスユニットや建具、家具などに様々な配慮と工夫がなされています。そうしなければ「住みたい」と思う家にはならないからです。住みたいと思わせる家は、それだけでよく売れるため、見えない部分に特別にお金を掛け、工夫をする必要がありません。
しかし、見えない部分の断熱材が充分に充填されていなかったり、気密層が不十分だった、窓の性能が伴っていなかった、床下乾燥を促す構造になっていなかった、小屋裏の自然換気がなされていない、天井断熱材が薄かったなどが要因で、様々なトラブルに遭遇する場合があります。
温熱性能のない住宅は、建主様が寒いというストレスを感じると共に、より多くの暖房費用が一生涯にわたり付きまとう事になります。当然、暖房費だけでなく冷房費も大きく関わるだけでなく、快適性、健康保全に関わるのもの、家に潜在した見えない部分の重要な性能が、住むことに対するストレスの多さを左右する事を知っておくべきです。
一生一代の家づくりです。計画の段階から、見た目だけでなく、住み心地、経済性を熟慮して、後悔しない家づくりを楽しんでください。
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